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営業とマーケティングを一体化。お互いの仕事に「ありがとう」が言える組織に変革

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株式会社ブレインパッド マーケティングプラットフォーム本部 副本部長 近藤 嘉恒氏
2018/09/03

今回は、ビッグデータ活用サービスやデジタルマーケティングサービスを手がける株式会社ブレインパッドの近藤さんへインタビューを行いました。「BtoBマーケティング」という言葉すらなかった若手時代、自分がトップセールスになったからこそ考えた「営業がもっと売れる仕組み」。これまでの職務経験から学んだことやマーケティングに対する想いなどを語っていただきました。

現状のマーケティング活動概要と課題




■現在のマーケティング課題
――リード獲得(受注)が終わりではない「Rtoasterファン」作りのプロセス化
――営業以上に営業現場を知る意識“マーケチームの営業マインド”の醸成

国内シェアNo.1の「プライベートDMP」を提供

――御社の事業内容を教えてください。

近藤さん(以下、敬称略)
当社は業界髄一の「データサイエンティスト」を有し、様々な業種・領域のお客様のデータ活用をサービスとして提供しているほか、デジタルマーケティングサービスとして「Rtoaster(アールトースター)」というプライベートDMP(データ・マネジメント・プラットフォーム)を提供しています。12年前に自社で開発し、今ではDMP市場の国内シェアナンバーワンである「Rtoaster」は、レコメンドエンジンを搭載したオリジナルのDMPで、さまざまなデータを蓄積したうえで多彩なマーケティング活動を支援する製品です。
主にはBtoC向けにご利用頂くケースが多いです。代表的なお客様ですと、JAL様やJTB様、ファンケル様やTSUTAYA様等、業界を牽引する著名な企業にご利用頂いているサービスです。

その中での当製品の強みは、データを用いた「あらゆるパーソナライズ“アクション“」が可能なこと。デバイスが多様化し、個々人の趣味や嗜好も多様化する中、画一的なレコメンデーションではない「一人ひとりの状況・ニーズ・タイミングにあったメッセージ」を出せることが最も大きなメリットです。それを実現できているのは、すべて自社開発でノウハウを凝縮し、「マーケターに使いやすい製品」を目指したプロダクト提供姿勢なのかなと自負しています。

――一人一人に適したメッセージを出す半面、Rtoasterを検討される「マーケターごと」にもニーズが異なりそうですね。別企業はもちろんのこと、大企業でも同じことが言えますよね。

近藤
その通りです。業務システムや中小企業向けなどの「汎用ツール」であればともかく、「ソリューション型」のサービスなので顧客のニーズはまちまちです。特に、お客様は大手企業が中心となります。やはり大企業向けの営業はとても難しいですね。担当窓口の人と話をしたから「その企業全体が抱えてるニーズ」がわかるとは、必ずしも言えないからです。顕在化しているニーズは他部門から見ると違った角度で捉えてたり、決裁権が別部門であることもよくあるため、私たちの営業プロセスを画一的に処理するのは非常に難しいですね。

――お客さまからは、どのような点が評価されているのでしょうか?

近藤
MarTech系業界はサービス数が7,000にもなり、日々膨大になっていますが、私がお客様と接する中で感じる評価ポイントは「Rtoasterの歴史(実績)」と「Rtoasterを知る人材(ノウハウ)」ですね。ベンダーが飛躍的に増加していることもあり、ツールの善し悪しを判断し間違えて、システムが稼働しない、プロジェクトが思うように進まないといったお客様の「導入失敗談」を最近よく耳にします。そんな中でやはり一番重要になってくるのは「信憑性」、すなわち「12年の歴史」なんです。業界の黎明期から今までを牽引してきたRtoasterの歴史は唯一無二の強みであり、いま現在もWebサイト上で活用されて続けている事実で、既に証明できていることが評価のポイントとなっています。

また併せて評価頂いているのは「導入後のフォロー体制」ですね。私たちはお客様と連携して中長期的にPDCAを回す体制を共に構築していくことを重要視しています。Rtoasterの製品開発は「使いやすい」「わかりやすい」を追求していますが、その前に「そもそも、どう使っていけばよいか?」などの施策伴走を求められるケースが非常に多く、Rtoasterの歴史とともに育ったコンサルタントたちが保有するノウハウ・ナレッジが「伴走型支援」として評価されています。
直近では、歴史ある総合ECモールのリニューアルプロジェクトに携わりまして、過去から行ってきた施策を一変し、新たなパーソナライズ施策を実行したところ、従来の9倍もの成果を得ることができました。そのお客様は「今更ながらに、レコメンドエンジンを“ちゃんと適切に“使うとこんなにも効果が出るんですね」と驚いていました。これまで当社が蓄積してきたRtoasterの機能のみならず、データ活用や分析のノウハウが活きている実例です。

営業とマーケティングの垣根を取り払う

――近藤さんのご経歴について教えてください。

近藤
会計システムやERPを提供するオービックに新卒で入社しました。営業に配属後はいろんな先輩の力を借り、おかげさまで営業成績は年間トップになることができ、その後、グループ長を経験するなど仕事は概ね順調でしたが、実はその間ずっと悶々としていました。「このままの営業のやり方ではいけない。最強の営業集団で居続けるために営業みんなが“もっと売れる仕組み”を創りたい」と考えるようになりました。
というのも、当時の営業は自分でTELコールや飛び込み営業を行い、人間関係を構築し、潜在課題を発見し、提案をして受注する「完全自走型」であったからです。言われなくても自走できる営業は提案スキルや業界知識のみならず、「TELコールセンス」や「案件案件発掘センス」も習得していって、数字も自然と上げていってました。一方で、「何かが足りなくて」こぼれ落ちるメンバーもいるんですよね。でも、そんな営業たちでも「会計知識レベルは一流」だったり「業界知識は一流」だったりするんです。

彼らがその能力を発揮できる“きっかけ(案件)”さえあれば彼らはきっと変わることができるのではないか。その“きっかけ”の一つが「リード創出」(お客様と対話する機会)だと考えました。リードを供給する仕組みを会社全体で支援すればこぼれ落ちるメンバーが少なくなり、「最強と呼ばれる営業組織は更に強くなるはずだ」という仮説を持ちました。

そこで、創業者である会長に新部門を作りたいと直談判。会長はその想いに共感してくれて「お前の好きにやってみぃ!」とチャレンジの機会を与えてくれました。先ずは地道な小さな業務改善に着手し、最終的には4マス広告宣伝やセミナー・イベント企画、Web広告、SEM・SEO、リマケ、Webサイト改善、メールマーケ等のマーコム領域全般業務からリードマネジメント、さらには自ら獲得したリード案件のプリセールスからクロージング支援などBtoBマーケティングに関するすべての業務を経験しました。そもそも当時は「BtoBマーケティング」という言葉はない時代でしたが...

――BtoBマーケティングという言葉がない時代に、会長・社長はすぐにマーケティングの必要性を理解してくれたんでしょうか・・・?

近藤
そうですね。お二方とも非常に聡明な方で、何よりビジネスの「嗅覚(センス)」が素晴らしいんです。「Webマーケ」というコトバの意味の理解云々より、「何をどうしたらビジネスが拡大、営業活動が改善されるか」という視点で常に私の話を聞いてくれました。まぁ、あとは僕が「失敗しないと気が済まない」性格だと理解してくれていて、「こいつにはいろいろやらせてみるか」と大きな親心で包んでくれてたのかなと。ただ、あの時の無知で生意気な発言は完全に20代の若気の至りでありました(笑)

とはいえ、実際マーケの戦略や詳細は最初から深く理解してくれて、たくさん投資して・・・とは、もちろん全然ならなかったです。「SEM・SEOとは?」という話は何十回説明しても理解して貰えなかったです。「検索エンジンの仕組みはわからん!要は何や?」ってよく言われました(笑)

だから指向を変えて、全て営業と連動する「施策」に表現を変え、受注という「実績」を作り、これらが「利益に直結する活動」である根拠を作り、そもそも活動を認めてもらうことから始めました。
まず集客改善として「SEMチューニング」を根本的に変えたところ、資料請求数が簡単に6~7倍にまで増えました。僕の本来の目的はここからで、そのリードを精査し「この業種ならこの人」と担当営業アサインに工夫を凝らし、案件対応を依頼すると先輩営業が「近藤からもらった案件、大切にするね」「自分の強みを理解してくれててありがとう」とわざわざ自席にまで、お礼に来てくれるようになりました。時には「2,000万円受注しました」と注文書を持ってわざわざ自席にまで報告しに来てくれたこともありました。

そのフロアの関係者から拍手が起こると、同じフロアにいる社長が気づき、「お前、何をしたんや?」と気にし始めるようになり、そこで「これがこないだお話ししたリスティング広告の成果です」「これがSEO対策の成果です」と成果から逆引きにしてストーリーを伝えました。
そうすると、「お前のやってることは営業活動そのものや」「営業プロセスの改革や」と理解され、そこからの営業&マーケティング改革速度が加速化しました。営業会社のトップがマーケの有用性を理解した時のトップダウンでの改革速度は非常にダイナミックで、営業とマーケ部門の関係は深まるどころか「一体化連動」することができました。

――上司に投資の意義を理解してもらうことは、今のマーケティング現場にも通じる重要なポイントですよね。



近藤
一方で、現場に対する「理解促進のメッセージ」も大切ですよね。
その後転職し、メール配信システムやMAツールを提供する会社で営業とマーケティング組織のマネジメントを担当したのですが、その会社はBtoBマーケティングの一定の理解は進んでおり「リード獲得のプロセス」はすでに確立されていました。

当時のマーケ担当の部下がとても優秀で、資料請求やセミナー、ダウンロードコンテンツなど流入別にリード件数を把握する仕組みを作ってくれて、マーケの活動の成果を測る基盤が早々にできあがりました。ですが、リード発掘を超えたリードの最終的な結果(受注)までを追う「意識」には至ってなかったんです。
つまり「自分たちの仕事はここまで」と分業の線引きをしたことは素晴らしい事でしたが、「いったい誰のためにやっているのか」の指標化が不透明になっていました。自分たちの活動は最終的に成果につながったのかが把握できてない、というよりも、営業の活動まで興味を抱けていない状態だったんです。

そこで私は「組織改編」としてマーケティング部門を営業部の下に配置し、名称を「営業支援グループ」と変更し、恣意的に「営業を支援するミッション」である事をメンバーたちに強調しました。マーケが獲得したリードに対して営業が架電し、往訪、クロージングする姿をマーケターたちに「物理的に」見えるような座席配置にもしました。実情を目の当たりにしたときに「この営業メンバーたちのために、自分たちがもっとできることは何か?」「自分たちも彼らと同じ目標を一緒に追っていこう!」という風に思ってほしかったからです。
当時のマーケ担当は本当に優秀だったので、即座にメッセージを汲みとり「営業以上に営業現場の事を考える」優秀なマーケターとして成長してくれました。もちろん自身の成果も目標実績200%近くをたたき出す素晴らしいパフォーマンスでした。

――営業とマーケティングの連携は、多くの会社にとって課題だと思います。

近藤
そうですね。ちょっと壮大な話になりますが、私が一番大切にしていることは自分たちが提供するサービスを通じて「お客様に“喜び続けて”いただくこと」です。未導入企業であれば「使いたいな」と思ってくれること。そう思って頂くためには営業やマーケだけでなく、お客様が効果を出し続けられるようコンサルメンバーやサポートメンバー全員の意識改革が必要です。
「営業」も「マーケ」も「コンサル」も「サポート」もチームで動いて会社全体で「マーケティング視点」を考え、ファンづくりのサイクルを回していきたい。お客様からしたら、対峙する相手の部門の垣根は関係ないので。

”プロダクト提供“だけでなく、良質な”接客“を含めた全てが「サービス」ですので、コンサルティングが評価され、他の企業に噂が伝播し、新たな受注がうまれたりすることは日常茶飯事でしたし、他に類を見ない先進的な導入事例の創出につながることもありました。
営業とマーケティングには壁があり、仲が悪い会社が多いとよく聞きますが、私は今まで恵まれた仲間に出逢っていたのか、自身が両方を経験しているためなのか、あまりその「不仲」の実感はありません。業務の繋がりにおいて連動することは当然の事で、そこで成果が出れば仲間とともに喜び、「ありがとう」というコトバが出てくるんです。その「ありがとう」が言える関係ができていれば「部門の壁」はできないのではないかと。

組織をつくるうえでマーケティング業務を「イチ雑務」と捉えず、部門長にいる人間が「マーケティングは事業戦略そのもの」であるという重要な位置づけとしてマーケティングを考えること、それが最も大切なのかなと考えています。

――近藤さんがブレインパッドに入社され、現場のメンバーや生み出す成果はどのように変わったのでしょうか。

近藤
入社して約2年経ちますが、もともと管掌取締役からのコンセプトで「フラットでチームワークを重視」した戦略をとっていますが、最近は特に“お客様を中心”とした会話がメンバー間でされるようになりました。営業もコンサルもサポートも開発も、そしてマーケティングでも自身の職種(当事者)視点として“お客様”とどう向き合うか。を考えていこうという文化が形成されてきています。もともと私の所属する組織は「自社開発・自社提供」を行っている“愛情を込めたプロダクト”がある事がそうさせているのだと思います。事業戦略にとって必要不可欠な「営業」「マーケ」「コンサル」「サポート」の「製販一体化」が確実に進んでいる証拠ですね。

一方でそのような「マインド改革」だけでなく、「ファクト(データ)」を使った仕掛けや試みもいくつか行いました。マーケティング観点ではSFAの活用方法を徹底的に模索し、営業の案件状況・在庫状況・リード対応状況・案件転換率などを「それぞれの関係者が見る仕組み」を確立しました。
また、営業活動の前段であるプロモーション施策ではMAを導入し、施策の高度化に着手しました。MA運用は地道で細かいところですが、ひとつひとつの施策には、「前人未踏な目標値」を敢えて設定し、メンバーに「施策の質」を熟慮してもらうように工夫しています。例えば、ライトコンバージョンで獲得した後のステップシナリオメールではメール開封率が70%超になり、CTRもコンバージョン数も過去最高の反響が出ました。そのような些細な改善で、単発アクションだけではない連動プロモーション効果が出た成功事例が出てきています。

また「営業」「マーケ」「コンサル」などのメンバーには意識改善として「全体を俯瞰(=森)として見て、自分がどの業務をしているのか意識しよう」と伝えています。自分が行う業務は必ず「どこかの部門」と繋がっていて、その前後でお客様と繋がり、そのアクションのおかげでご発注を頂くことができる。社内では「ビジネスサプライチェーン」と呼んでいますが、この連携意識がチームワークを産み、ブレインパッドならではの「製販一体化」が洗練されると思っています。

マーケターに求められる人材要件、これからのマーケターになる方へ一言

――近藤さんは、マーケターに求められるスキルやスタンスを、どのようにお考えですか?

近藤
まず第一に、営業以上に営業現場を知る“熱量”ですね(笑)体育会系っぽいですが。非対面だからこそマーケターは「リアルな営業現場」を知っていてほしいです。 MAなどを使った自動化ブームが来てますが、ツールの利用において「効率化」と「手抜き」では違いますからね。営業の現場を「知ろう、体験しようとする意識」には手抜きしてほしくないと思います。
併せて必要なのは“論理構成力”ですかね。日々数字を追う営業は、数字がすべての世界で戦っています。その営業たちに非対面領域での支援施策を行うのですから、自身の活動計画を定量的に論理的に構成し説明する力がないと、営業に納得させることはできないですし、営業と対等な会話をすることが叶わないからです。

それから“知的好奇心”ですね。いまの世の中「効率化」「高度化」できるツールがたくさん出てきています。それらのツールに対して「このツールをこんな使い方をしたらどんな結果が出るだろう」とワクワクしながら仕事する人が部下にいたらすごく楽しみですね。

そして最後に“協奏力”です。正論で人を動かそうとするマーケターが多いですが、それだけでは真の協力は得られないかなと。「業務上の関係」の前に「人と人の関係」でありますし、社内の関係者を如何にモチベート(巻き込んで)していくのか。マーケティングの仕事は人の心を動かすことであり、その能力は社内外の両方で活きてきます。コラボレーションが誘発できるマーケターはBtoBでもBtoC領域でもとても優秀で、且つ、素晴らしい人格の方が多いような気がします。

――最後に、マーケターを志す方へ、メッセージをお願いします。

近藤

BtoBマーケティング業務を「壮大で愉しい」ものだと捉えてほしいですね。「BtoBマーケ≒MA活用&インサイドセールス」と謳う人たちもいますが、ミッションはもっと多岐にわたります。勝手に業務制限せず、思考の幅を広げていってもらいたいなと。枠を自ら取っ払って世の中の人が気づかない可能性を、自ら模索する探究心を持って「営業と協奏する職種」として、事業を牽引していってほしいです。

――とても理論的なお話ながら、それ以上にお客様と自社への愛情を感じる取材でした。「全体を森として考える」視点、私も忘れないようにします。本日はありがとうございました!

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