• 2018/10/16
  • インタビュー
  • 突撃!となりのマーケター

セオリーに捉われないからこそ面白い!成功体験が得られる仕組みづくり

  • マーキャリ 編集部
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北海道に本社を構えながら、東京でも幅広く活動されているルシダス社を取り仕切る池上さん。現代のマーケティングに黎明期から携わってきて培われた知見と、自らを「マーケティングロックスター」と銘打ってご活躍されているその背景を紐解いていきたいと思います。

今回は、マーケティング戦略コンサルティングとして科学と数字に裏付けられたマーケティング提案を得意とする、株式会社ルシダスの代表取締役 池上ジョナサンさんへインタビューを行いました。
北海道に本社を構えながら、東京でも幅広く活動されているルシダス社を取り仕切る池上さん。現代のマーケティングに黎明期から携わってきて培われた知見と、自らを「マーケティングロックスター」と銘打ってご活躍されているその背景を紐解いていきたいと思います。

*現状のマーケティング活動概要と課題




――それではまず、株式会社ルシダスの業務内容を伺わせてください。

池上さん(以下、敬称略)
そうですね、ルシダスの仕事は「マーケティングコンサルティング会社」という風に表現しています。しかしただマーケティングコンサルティングの会社、って一言で言ってもピンと来ないと思うんです。 何故かというと、マーケティングそのものの定義がものすごい広いっていう理由があります。 だから、具体的にルシダスって何のマーケティング会社なのかと問われたとき、SEO調査なのか、広告出版なのか、マーケティングの定義が広すぎて定まらないんです。 なので、じゃあいったい何をやっている会社なの?と問われたら、実際は「それ全部です」と答えるようにしています。

――なるほど。「全部」というのには理由があるのでしょうか。

池上
はい。マーケティングって、広告屋さんとか制作屋さんとか、或いはWeb屋さんであったりとか、いろいろな形があると思うんです。 しかしどれかに特化してしまうと、その手法ありきで提案内容が決まってしまうわけです。 私たちの場合、お客様のニーズに合わせて「イベントをやるべきだ」と意見する場合もあれば、「広告を出しましょう」と勧めるときもあります。 「全部です」と言ってしまえるほど広範囲で提案していけるため、「マーケティングコンサルティング」というざっくりとした表現を用いて、 幅広くお客様のニーズに対応しているわけですね。

――北海道に本社がありますが、東京の支社とどのような違いがあるでしょうか。

池上さん
東京はぶっちゃけ営業拠点ですね。お客様のほとんどが東京にいるので、Face to Faceじゃないと進まないような案件だったり、ワークショップのようなイベントの企画実施だったりと、対面する必要がある場合には東京で対応しています。
北海道の旭川にある本社ではマーケティングオートメーションなどのツールを使ったり、それに伴うコンテンツを作ったりするなど、何か手を動かす部分に関してすべて対応しています。 そこにはプロマネチームがいて、制作チームがいて、ライターがいて、編集者がいて…東京に居ながらほぼほぼリモートで動かすことができています。

例えば「田舎暮らしがしたい、だけどマーケターとしてのキャリアは捨てたく無い」という人には、うちの会社は最適ですね。 スローライフと最先端マーケティングの両方を維持できるっていう、ちょっと珍しい会社ですから。
*BtoBもBtoCも存在しない
――マーケティングコンサルティングとして、御社はBtoB、BtoCのどちらをされることが多いでしょうか。

池上
僕、BtoB、BtoCって言葉が嫌いなんですよ、実は。
何でかっていうと、BtoBやBtoCはマーケティング手法を分かりやすく表現するための言葉としては、すごく便利なんです。けれども、本当はBtoBマーケティングとかBtoCマーケティングとか存在しないと思うんですよ。

BtoCの例でいうと、

個人が自動車を購入するケース。実際に車の購入に至るまでのパターンを考えてみると、時には自分一人では決定はできない場面が出てきます。家族に何かを打診して了承を得ないと、さすがにその何百万円とか一千万円以上とか、そういう商品は買えないですよね。
この行動パターンって、何かを導入するのに稟議をあげて検討するBtoBと一緒なんですよね。

しかも購入サイクルが長かったりとか、非常にコストが高いとか、投資とまではいかなくても概念的には似ているので、実際にやってることはBtoBマーケティングに限りなく近いんです。
逆に、BtoBと言われる企業間取引みたいな商取引であったとしても、BtoCに限りなく近い動きをするんですよ。企業間取引であっても消費性の高い商材なら、年度末の予算が余っている時に特売セールみたいなことをやると、企業は買いだめすることもあります。これってもう完全に、奥さんが特売の時に洗剤をたくさん買ってくるのと何も変わらないんですよね。

――確かに。(笑)

池上
でしょう。だから本質的にはBtoB、BtoCって捉われ方はしないし、もっと言うと、ひとつの業界だけに捉われもしてないんです。 その商材の性質は何なのかを考えたうえで、買う人がどういう人達なのか、何を売ったらいいのか、季節変動などの外的要因はあるのか、 などの様々な部分を深掘りしていくことが大事になってくるのです。

例えば僕らが自動車メーカーのコンサルをしたときにお客様と一緒に身につけていったノウハウが、実は医療機器メーカーの営業のほうにも完全に転用できたとします。 これが医療機器メーカーだけのマーケティングをやっていた会社だったら、その発想は出てこないでしょうね。
BtoB、BtoCに捉われず、そしてひとつの業界だけにも捉われず幅広く手がけるっていうのが、大事なことだと思っています。
*ルーチンワークは大っ嫌い!セオリーに捉われない面白さ
――では、池上さんが考えるマーケティングの面白さや難しさって、どのあたりでしょうか。

池上
マーケティングでの面白い部分と難しい部分ってのが、僕はほぼ同じことだと思うんです。 マーケティングの世界では、これやっておけば絶対大丈夫、という確定要素は存在しない。それは時代とともに変化するし、テクノロジーが変われば文化も変わる。 世代が交替すればターゲットも移行する。売っているのものが変わってくればあれもこれも変わってくる。僕はそれが非常に面白いっていう風に捉えています。 何故なら、マンネリ化しないから。

僕は同じことを繰り返しやるのがものすごい苦手な人間で、ルーチンワーク大っ嫌いなんです。 だから逆に、新しいものを生み出すことに面白さを感じるんです。ただ、それって結構難しくて。常に新しいものを生み出し続けていかなければいけないし、 八方にアンテナを張って気を配りながら様々なことに注視しておかなければいけないわけです。

すごい小さなケースで言うと、例えばどんなメールの件名だったら開封してもらえるか? それを解決するいろいろなアイデアがあり、いざ実行してみると「あ、こんなやり方あるんだ」と周りのマーケターも真似をし始めるんですね。 そうすると似たような件名のメールで溢れてしまうわけです。しばらくすればこのアイデアは使い古されて全然効果が無くなってくるので、 また新しいものを生み出さなければいけない、というのはありますよね。温故知新みたいな。

でも、こういったワンパターンのメールマーケティングがどんどん増えてきたりすると、いつの間にかあまり使わなくなっていたDMの送付が逆に斬新に受け止められて、開封率や反応率でより高い結果が出てきたりします。
要はセオリーに捉われずに柔軟に考えていかないと、マーケターとしての成功は難しいでしょうし、それが逆に面白いなって思います。
*成功体験が得られる仕組みづくりと、仕組みの汎用化
――マーケティング施策において特に印象に残っている成功体験はありますか。

池上
そうですね、ちょっと前の事例になりますけど、自動車業界の事例を。
マーケが特に陥りやすい問題だと思うんですが、いわゆる、絵に描いた餅。僕らが思い描くマーケティングファネル、その先には営業マンがいます。良かれと思って営業にリードを渡しても「よその部署が急に来てなんやねん!」と反応されてポイッと捨てられてしまう可能性があるんです。だから、如何にその相手に「あ、これイイネ、ひと口飲みたいよ」と思ってもらえるかが重要なんです。
これってカーディーラーの場合だとすごくわかりやすいんです。日本中に点在している各ディーラーさんに、マーケから「こんな人いますよ」ってリードを送ったとしても、なかなか対応してもらえないんですよ。
けれど、マーケから送られてきたリードを優先的にアタックした結果、自分の成約率がものすごく上がったっていう、いわゆるインサイドマーケティング的な手法を体験してもらったところ、かなりの成果を得たんですね。そしてその成功体験が伝わりさえすれば、もうディーラーを口説く必要は無くて、口コミ的に他のディーラーに広まっていって、同じ仕組みを使ってくれるようになったんです。
その結果として、絶対無理だと言われていた成約目標値を達成できた、というのがありましたね。

――営業部門との接し方はマーケターの間でもよく話題になりますね。

池上
そうなんです。でも結局「相手も人間だ」ってことを理解した上で、セオリーとしてはよくわかっているこのマーケティングを如何にして営業に活用してもらうかという、仕組みづくりの部分が大切かなと思います。この仕組みさえ確立してしまえば、今度はそれをそのまま他の企業に提案できるんです。

ある医療機器メーカーでの成功事例なんですが、医療機器って、買い替えのタイミングが来たら販売代理店がお医者さんに対して風呂敷を広げて、 「どれが良いですか?」って全メーカーの中から選ばせるんですね。
代理店の方々は、どこかひとつのメーカーをプッシュするようなことはあまりしてくれないんです。

そこで、(先ほどお話しした)カーディーラーで確立した仕組みを、医療機器メーカーの営業マンに 「この仕組みを使ってアプローチしていくと売れるんだよ」と丁寧に教えながら、自社製品をプッシュする方法を伝えたんです。

そしてこの仕組みを販売代理店に持ち込んでアプローチしたところ、マニアックなメーカーの医療機器なのに、 マーケから送られてきたリードを優先的にアタックしたらちゃんと売れたんですね。そうすることで営業マンに歩合が入り、社長に褒められ、 ボーナスも上がるなど、具体的な成果を体感・体験できた。こうして、今まで風呂敷広げていた営業方法から、「何社もありますが実はこのメーカーのこれが良くて」という営業トークができるようになったんです。
*成長中だからこそ、日本のマーケターはチャンスが豊富!
――では最後に、海外のマーケティング事情にも精通している池上さんに、日本と海外のマーケティングの違いについて伺わせていただけますでしょうか。

池上
日本とアメリカの違いで大きいのは、学べる環境の違いですね。 大学にしても、アメリカと違ってマーケティングを専攻できる学校が限られていたりとか、マーケティングを専攻しているつもりでも結局は広告関係だったりとか。つまり、大学を卒業した後にマーケターとして即戦力で働くイメージ、あるいは「私はマーケターになるんだ」という意思を明確に持てる環境が少ないっていうのが、一番の違いであると思います。

マーケターっていうのは本来すべてのものを理解した上で、自分がフォーカスするエリアをどんどん深堀っていくものだと思うんです。 例えば、インサイドセールスをやっているにしても、「広告は自分のインサイドセールスのエリアにどう影響しているのか?」 といったマインドが持てないと、インサイドセールスを最大化するための予想は立てられないと思います。

あるいは、イベントをやるにしても、それがお客さんのマインドチェンジに対してどんな風に反応するのか、またその行動追跡っていうのができるようにならないと、 デジタルにだけ特化して物事を考えても、やっぱり成功には中々持っていけないと思うんです。

自分のエリアを深堀しつつも、幅広い視野で他の様々なエリアも見ていき、デジタルに興味が強ければデジタルに、 インサイドセールスに興味があればインサイドセールスに、自分の得意分野を移していくつもりで頑張っていって欲しいです。

これからマーケターを目指す人も、今頑張っている人も、デジタルのマーケターとかインサイドセールスを目指す人たちにとっての最大のメリットは、 日本にはまだまだ専門家が少ないぶん「私やります」って手を挙げれば、チャンスがものすごくあるってことです。 意欲を持って幅広い見識で挑んでいただきたいですね。

――池上さん、本日はありがとうございました!


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