• 2019/10/03
  • 連載企画
  • マーケティングエバンジェリスト

営業とマーケティング組織構築のススメ〜#01 マーケティング部門の果たす役割〜

  • 河村 芳行
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河村 芳行[著]
本コンテンツの目的は「マーケティング活動を取り入れたばかりで軌道に乗せたい」「マーケティング部門と現在の営業部門との連携に課題がある」など組織運営上ノウハウを得たいという<経営者・事業責任者向け>のコンテンツである。これまでの経験と知見を凝縮させたコンテンツとなるので、是非参考としてほしい。

マーケティング部門の果たす役割

なぜマーケティング部門が存在するのか?

「組織にマーケティング部門は必要なのか?」という疑問をよくいただく。
極端な話、部門は役割を明文化したりPLを管理する上での手段だったりするので本質的にはどちらでも良い。
しかし、現代の高度化したマーケティング活動へ対処する為には、兼務では不十分だ。
デジタルの波は留まることを知らず、もはやマーケティング活動を行わずに事業成長を実現することは不可能ともいえる。

現在貴社ではマーケティング部門を持っているか?

今、市場ではどの程度の組織がマーケティング部門を持っているのか?
我々はこれまでマーケティングベンダーとして幅広い企業規模、業界、ビジネスのマーケティング活動をご支援してきたが、
マーケティング部門ほどミッションが企業によって多様な部門もないのではないか。
営業部門は恐らくほぼすべての企業において“業績”をあげることだろう。しかし、マーケティング部門はどうか。

この一言で語れないマーケティング部門の在り方が、まさに営業とマーケティング組織を上手く構築することの
難しさを物語っているともいえる。

マーケティングは元々定義の存在しない言葉だが、識者の定義における共通項は「顧客を創造すること」。
自社製品を顧客が選択して購買頂ける状態を創ることだ。この定義には、もちろん営業活動も手段の一つとして含む。
つまりマーケティングの本来の定義で言えば、営業活動はマーケティングに包含されるものとなる。
しかしマーケティング部門内に営業部門がある企業を私たちは目にしたことはない。
逆にプロモーションだけを切り離して営業部門内にマーケティング部門が存在するケースはある。




「何故このような逆転現象が起きるのか」

多くの企業にとって、マーケティング部門のミッションを難しくさせている理由が、やはり営業部門の存在だろう。
およそ対法人向け組織で営業部門を持たない企業は存在しない。営業部門は日本企業にとって、業績を生み出す源であり、
非常に強い権限を持った部門であるケースが多い。
社内のキープレイヤーが営業部門出身であることもめずらしくない。

つまりこれまでの組織沿革上 マーケティング部門を急に営業部門の上に立てること自体の現実的な難しさが障壁となっている。現実的な着地は、プロモーション活動だけを切り離して営業部門内に配置するか、独立させて経営付にするかどちらかとなるだろう。

営業部門内配置とすると事実上営業部門の販促支援のようなミッションになり、アポ数や展示会来場数といった目標を持つケースが多くなり、独立すると新規開発やブランディングなどのミッションを持つケースが増える。
どちらにしても、実際の顧客創造フェーズにおいて不足した機能を経営部門か営業部門が担うことになるはずだ。

こうしてマーケティングの取り組みは上手く行かず頓挫してしまう。
逆に言えば、経営にとって最も重要な意思決定は、マーケティング部門のミッションを決めることだと言える。

マーケティングの「ミッション」を決める

では、マーケティング部門はどのようなミッションを担うべきだろうか。
先述したが、営業部門が業績を上げることならば、マーケティングは「顧客を創造する」ことである。
つまり、顧客を創造するプロセスや仕組みを設計し、運用することだと言える。

顧客を創造するプロセスとは、端的に言えば「参入する(もしくは新規創造する)市場を整理し、
事業を定義し、顧客を定義して接点を生み出し、購買意欲を高めて取引を生み出す一連の流れ」
のことだ。

これまで多くの企業でこの一連のプロセスを検討し運用してきたのは経営、もしくは事業責任者だろう。
ただ、顧客接点を作った後の業績は営業部門、もしくは代理店が担ってきたケースが多いため、
活動量や質を改善するオペレーションが中心だったかもしれないが、
現在ではデジタル媒体の顧客接点創出の必要性が生じたことで、マーケティング戦略の高度化と継続的な改善を要求されるようになった。

競合とのWebサイトが否応にも比較対象として上がり、新たなサービスや代替サービスも続々と登場する時代になった。
サービスのライフサイクルも日々短期化し、オペレーションもPDCAを早期に回し、イノベーションを生み出す組織作りが
必要となっている。
また、ターゲティングや提供価値の定義のようなマーケティングフレームワークを用いた戦略設計も重要となってきている。
昨今ではカスタマージャーニーやペルソナといった言葉も一般化しているが、施策レベルの戦略設計が求められる時代なのだ。

そういう意味で、マーケティングの「顧客を創造する」というミッションは、非常に高度な戦略性を求められる業務と
なってきた。かつこれが施策レベルの現場においても求められている。
経営が営業・マーケティング戦略立案体制を検討する上で現在の市場変化を的確に捉え、マーケティングの重要性を理解し適切にミッションを設定することが必要となっている。

次回は「マーケティング部門と営業部門との関係、在り方」

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