• 2019/04/04
  • ノウハウ
  • スキル×マーケ

これからの時代に求められる人事のキャリアパス

  • 河村 芳行
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キャリアアップ志向の強い人事

皆さんは、人事担当者としてどのような業務に就いているでしょうか。

人事企画業務

社内メンバーが働きやすくモチベーションの高い組織を作る為に、人事制度や組織活性などを目的とした取り組みを推進する。評価制度や報酬制度、在宅制度やクラブ設立制度など。

採用企画、採用実務

自社にとって最適な人材を可能な限り低コストで獲得する為の手法立案からプロセス構築とその実務全般を行う。

人事教育、研修企画、実務

自社メンバーの継続的なスキルアップや新卒、中途入社メンバーのスキルの平準化を目的とした研修、育成制度設計とその実務全般を行う。

人事労務

タイムシートや勤怠管理、社会保険、健康診断や福利厚生など、社内メンバーが安心して働いたり会社として組織の健全性を維持する為の実務全般を行う。

管理業務全般

主な人事業務といえばこのような分類で大別されるのではないかと思います。全てを横断的に行っている場合もあれば、ある分野に特化されているご担当の方もいらっしゃるのではないかと思います。

先日、9割の人事担当者が更なるキャリアを希望している、という記事を目にしました。
https://www.hrpro.co.jp/research_detail.php?r_no=128

人材市場は売り手市場が続き、人事に関わるさまざまなサービスやツールが激増し目まぐるしい社会変化の中で、人事としてのキャリアアップに悩まれている方も多いのではないかと思います。
本日はそんな人事としてのキャリアパスとして、マーケティングの有効性についてお話ししたいと思います。

人事の中で大きく分かれる企画と実務キャリア

私はもう5年近く人事企画業務の責任者としてキャリアを作ってきていますが、5年間の中で2名の正社員を採用し、うち100名以上の人事キャリアを持つ担当者との面接を経験として積み上げてきました。

人事担当者として業務されている方ならお分かりかと思いますが、人事業務といっても、業務内容は大体共通して先ほどの業務分類で部門が分かれるケース、そして企画部門と実務部門で分かれるケースのどちらでしょう。更に言えば、業務分類で部門が分かれるケースにおいても、その部門内では企画担当者と実務担当者が分かれるケースが多いのではないでしょうか。

人事にとっての企画業務は非常にクリティカルな業務が多く、企業によっては経営企画や経営が直接マネジメントしているケースも多いはずです。人事制度、評価制度や組織活性、研修、採用などの企画業務全般は経営方針や計画と密接で、経営ビジョンを深く理解し中長期の経営計画に合わせて的確なプランニングが求められるため、一口に人事といっても、企画業務と実務では全く異なるものです。

逆に言えば、人事としてのキャリアパスを考えるならば経営と密接なポジションにある人事企画業務は絶対に身につけなくてはならないスキルと言えます。この企画業務スキルを高める為に、人事部門から一度離れて営業部門や経営部門にキャリアチェンジする方もいれば、むしろ別部門から抜擢されるケースもあります。

私はキャリアチェンジという選択肢ももちろん有効だと考えますが、それ以上にマーケティングスキルを身につけていくことが最大の近道ではないかと考えています。

人事キャリアにマーケティングスキルが求められる理由

マーケティングスキルといっても、特別な資格は必要ありません。
もし現在在籍している企業にマーケティング部門があれば、一度異動してみたり実際の仕事を経験してみることが一番良いかもしれませんが、そんなに自分が希望する通りの企画が多く訪れるわけではないと思います。
ここでは、実際に企画業務にチャレンジ、もしくは企画スキルを高めたいと思ったときに実践してみると良いポイントをまとめてご紹介します。

自分なりにビジョンと人材の理想像を言語化する

まず最初に行うべきことは、自分なりに経営から発信されているビジョンや経営方針、中長期計画を再構成し、言語化することです。
その際考慮すべきことは、「現在」と「未来」を二つに分けて言語化すると良いでしょう。

「現在」で考えるべきは、現在活躍している人材にフォーカスし、会社にフィットし、求められるであろう人材像を定義することです。
「未来」で考えるべきは、会社の中長期成長計画を理解し、未来を描くために不足しているであろう人材を定義することです。

この際、マーケティングで良く使われているSWOT分析などを自分なりに行いながら、資料としてアウトプットすることで、経営や上司からの貴方の評価や見方も変わり、企画業務を委任してもらえる機会も出てくる可能性があります。

分析のやり方については、私の知見が掲載されている以下書籍でもご紹介しています。
少人数チームからはじめる失敗しないBtoBマーケティングの組織としくみ

お金出したくないな、という人は以下に直接メッセージして頂いても良いです。
https://www.facebook.com/yoshiyuki.kawamura.5

人事にとっての顧客を定義する

もう一つ忘れてはならないのが、人事には2つの顧客が存在するということです。
1つは、これから入社してくれるかもしれない顧客、つまり求職者です。そしてもう1つは、今現在在籍し働いているメンバー、つまり社員です。

マーケティング的に言えば、次に言語化すべきは、求職者があなたの会社を選んでくれる理由の言語化と、社員があなたの会社で仕事を続けてくれる、もしくはモチベーションを高く働いてくれる理由を言語化することです。

この言語化には、STP分析や3C分析が非常に役立ちます。STPとは、「セグメント」「ターゲティング」「ポジショニング」の略です。
すごくシンプルに言えば、顧客の属性をセグメントという手法で定義し、自社がターゲットすべき顧客セグメントを決定し、その顧客から選んでもらいやすいポジショニングを検討するフレームワークです。

ポジショニングでは、自社が選んでもらいやすいように研修や育成プログラムを作成したり、適切な採用媒体を選択する、など、あらゆる場面で活用できますので、是非この分析を進めることをお勧めします。

更にポジショニングを決定する場合には、必ずターゲットした顧客属性を同じように欲している競合がいるはずですので、3Cというフレームワークを用いて、競合を分析し、自社の差別化要素を言語化することもお勧めします

先ほどからしつこく言語化というキーワードを使っていますが、実はこの言語化という作業が人事企画においては何より重要なのです。
経営や上司から評価を獲得する、新たな取り組みや施策を進める上での合意形成の為には欠かせません。
人事部門は間接部門、いわゆるコストセンターとなるので、基本的に新たな施策は全て投資となります。その投資に対する合意を得る為にも必ず踏まなければならないプロセスだと考えましょう。

取り組みを定量化し貢献を可視化する

最後に、分析した内容から取り組みへ繋げ確実に成果を上げて経営から評価を獲得し自らのキャリアとする為にももう一つ考えなくてはならないことがあります。それは現在行っていることの取り組みの定量化と可視化です。

採用業務や研修業務、組織活性業務にしてもこういった業務は人事担当者が意識しなければ、成果が形になって見えるまでに非常に時間がかかります。採用であれば採用単価と採用人数、研修業務で言えば社内メンバーの成長スピードや社内アンケートなどをゴールとしたとします。
しかし、そのゴールを達成する為には早く見ても半年~1年ほど時間がかかります。経営や上司が非常に辛抱強い性格な方々ばかりなら良いですが、もしそうでなければ成果が出る前に頓挫して終了してしまう恐れもあります。

そうならないように必ず人事担当者が考えるべきことはそれぞれの業務工程を細分化し、各工程のプロセスで発生する成果を定量化してレポート化することです。
これはリーダーシップ論でも定石と言われる行為で、要するに「小さな成果を積み上げる」ことが重要となります。

例えば研修業務の場合、実際に研修を受講した人数、受講者のアンケート、受講後の行動変化まで追っていきます。アンケートを出して終了ではなく、実際に受講者がどんな行動変化が起きたのかまで追う事で、短期的に研修成果を可視化し、そこから発生した課題も経営と共有して
素早いPDCAを実行することができます。

マーケティングを意識して人事業務を進めてみよう

これまでにご紹介したようなプロセスを社内で実行してみることによって、社内からのあなたの見え方は大きく変わるのではないでしょうか。
実際人事責任者や経営者は、人事担当者にもっと踏み込んでもらいたいと思っていますし、そのためには経営のことをもっと深く理解してもらいたいと思っているはずです。僕もそんな人事責任者の一人です。
早速今回の内容を実践に移し、あなたの職歴を彩るようなキャリアデザインを行っていきましょう。

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