marketing career

マーケティングとキャリアをつなぐ総合情報メディア

『グロースハッカー佚』(第14話)【亡き父の会社】

グロースハッカー佚 2019/11/07

新連載企画『グロースハッカー佚』。BtoBマーケティング会社に中途入社した八月一日 佚(ほずみ てつ)。前職ではプロモーターとして勤務していた小さな音楽レーベルを1人でメジャーレーベルにまで成長させたキャリアを持つ26歳彼女の誰も思いつかないような独創的な発想は果たしてBtoBマーケティング会社でも通用するのか。会社のブレーンとして様々な企業課題に立ち向かう彼女と会社の成長を追ったストーリー小説。
新しいプラットフォーム案を決めるミーティングの第1回目が始まる。前日テッサンが登壇したフォーラムの動画を見た事業部のリーダーの横はテッサンにある話を持ち掛ける..→『グロースハッカー佚』(第13話)はこちら

亡き父の会社

横「テッサン、ちょっといい?」

佚「はい」

横「今日のプラットフォーム案、テッサン中心に話進めていきたいんで、テッサンの前職のこと企画の皆に共有していいかな?」

佚「私の前職のこと...?」

横「レーベル時代にマーケを統括してた話とか。できれば今後の話し合いはテッサン主導で行ってほしいんだ」

佚「何故私なのですか?」

横「実はテッサンが登壇してたフォーラムの動画偶然見つけてさ。全部見たけど多分チームのどのメンバーよりも新規事業においてノウハウを持ってるし、テッサンにしかないクリエイティブな発想が今後を左右する気がしていて」

佚「ありがとうございます。でも私はまだ入社して4日です。主導するような立場にはないと思っています」

横「言いたいことは分かるよ、チームの納得感でしょ? その為に、テッサンの前職について少し皆にも共有したいんだ。マーケティングのスキルや理解においても皆と大分差がある。だからどんどんテッサンの持ってるノウハウを皆に共有できる環境を作っていきたいんだ」

佚「わかりました」

横「みんなきっと直ぐに受け入れると思うよ」

佚「そうだと嬉しいです。 ありがとうございます、呼び名も」

横「え?」

佚「テッサン」

横「あ、そうね。そっちの方が良いでしょ?」

佚「はい」


横「今日も企画に携わるメンバーだけに集まってもらいました。前回伝えたとおり今日はプラットフォーム案を新たに出し合いたいと思います。で、元々今回はテッサンの意見が切っ掛けなのでテッサン中心に話を進められたらと考えてます。余りテッサン本人の口からは出てませんでしたがちょっと本人にも許可貰ったんで共有します。実はテッサンは前職のレーベル時代に新規で立ち上げられたデジタルマーケの統括を任されていて4か月で大きな成果を上げています」

川門「責任者だったってことですか?」

佚「リーダーとして取りまとめていました」

川門「そうだったんだ!普通にマーケチームのメンバーなだけかと思ってた」

横「新規事業の立ち上げ経験があってノウハウも持ってるので今回彼女中心に進めた方が良いなと勝手に思ってさっき本人にお願いしました」

川門「いいんじゃないですか!」

類巣「自分もいいと思います」

横「本人はまだ入社して4日なので主導する立場ではないって言ってたけど、この中で実際に新規事業の成功体験を持っているのは彼女だけだし、リーダーとして取りまとめていた経験もあるから、テッサン主導で立ち上げていくのは自然な流れかなと思って」

柿島「でもちょっとその考えは安易過ぎませんか?八月一日さんはレーベルでの経験ですよね? うちとは業種が違うのでいくら成功体験があるとは言え、私たちのやろうとしている事とは違う気がします。それに、まだうちの会社の考え方とかカラーとかも理解できてないと思うので、その状態で主導で進めるのはちょっと怖いかなと」

坂西「いや、とは言っても我々の誰も、何が上手く行くかは分かってないし、その点テッサンはレーベルでの成功体験だけじゃくてコールとか色々なノウハウも持ってるから絶対にテッサン中心で進めた方が良いと思いますよ!」

横「まぁ、主導というのは、あくまで案出しとかの話なんで基本的な体制は変えないよ。柿島さんには引き続きプラットフォーム側の纏め役をお願いします」

柿島「そういうことでしたら分かりました」



横「で、早速なんだけど、先ず誰か案考えてきた?」

「・・・・・・」

横「ん? 誰も無い? カワ、どう?」

川門「うーん、、、元の案をベースに色々考えてはみたんですけど、結局余りバリューが感じられないんですよね」

横「バリューが感じられないというのは?」

川門「いや、マーケターの副業を支援するようなサービスは既に世の中に出回ってるし、企業側がコンサルに依頼すること自体も別に新しいことではないと思います、だからうちが新たに参入しても差別化が図れないから上手くいかない気が...」


※元のサービス案
ユーザー側はマーケティングスキル診断アプリを使い、得意な分野やスキルレベルを洗い出し、その結果を元にクライアントとなるスタートアップ企業のニーズに合わせて、こちらでユーザーを組み合わせてマーケティングチームを作り提供する


横「...テッサン、どう思う?」

佚「確認したいのですが、元のサービス案は何故生まれたのですか?市場調査などの結果からですか?」

横「働き方改革の推進によって副業解禁の動きが広がってるからかな」

佚「となると、ターゲットは副収入を得たいユーザーになりますか?」

横「そう、あとキャリアアップもかな」

佚「キャリアアップ?」

横「副業すれば他の仕事にも携わるわけだから経験値が上がる。経験値を上げていけば持ってるスキルも増えるしその副業先の会社から新たなオファーが来るかもしれないからキャリアアップにつながるでしょ」

佚「それは仮説ですね。新たに何か新しいサービスの提供を行う場合は先ず、市場が求めているものを探る必要があります。働き方改革の推進によって副業解禁の動きが広がってるというのは公表されている事実ではありますが、実際にどの市場でそれが起こっていてそれによって何が求められているか調査しなければなりません」

坂西「だから、求められているのは誰でも簡単に出来て副収入を上げられるサービスなのでは?」

佚「それも仮説になります。今何が求められていて、そこに対して何を与えたら喜ばれるか、新たなサービスの立ち上げには事実と仮説を完全に分けて考える必要があります。『今何が求められていて』は事実でなければなりません。そして『何を与えたら喜ばれるか』が仮説になります」

横「なるほど、となると今は仮説に仮説を重ねてるってことになるのか」

佚「あと先ずはマネタイズを想定するターゲットのニーズから探っていくべきだと思います。元案でいうと企業側が求めているのは本当にマーケティングチームなのかなどです」

横「それで言うと実際にスタートアップ企業のうちのクライアントで多いのがマーケティングを丸投げするような依頼。経営者がマーケティングを全く理解出来てなくて、どうやってブランディングしていったら良いか相談来ることが多くて。だから企業側のニーズは仮説ではないよ」

佚「だから、彼らの課題解決にはマーケティングチームが必要だと仮説を立てたわけですね。実際にうちの会社が業務委託という形でこれまでに何度もマーケティングチームの役割を担ってきたと思いますが、結果はどうですか?」

横「ベンチャービジネスはやっぱり難しいよ。上手くいく場合と半々くらい、いやもっと少ないかな、もちろん長期で見ての話だけど。うちが安価でカスタマーとの関係構築をやっても、数年後にちゃんと続いてる会社は少ないね。」

佚「その会社自体にマーケのノウハウがないからですか?」

横「そういうことだね、だから彼らには継続して安価に利用できるマーケティングチームが必要なんだ」

佚「モーダルベッドジャパン株式会社は?」

横「ん!?」

佚「確か過去に請け負ってましたよね?」

横「よく知ってるね! そうそう、自分が入社した頃だから、もうかなり昔かな。(彼らの)スタートアップ時代にうちに依頼が来て確か1年くらい取引したんだっけな、今では世界的なベッドメーカーになってる」

佚「彼らは何故成功したんでしょうか?」

横「確かうちの何人かが出向して自社社員の人たちと一緒にコンテンツマーケをやっていったんだわ。その後も、自分たちでマーケティングチームを作って継続的に行ってたから上手くいったんじゃないかな」

佚「そこにヒントがあると思います」

次回『グロースハッカー佚』お楽しみに!
『グロースハッカー佚』第15話はこちらから

会員限定で『グロースハッカー佚』最新号をいち早くお届け!
登録はこちら!

  • 気になる

Downloadダウンロード資料

マーケタースキル診断

マーケティングディスカバリー

Related Articles関連記事

この記事を読んだ人は、こんな記事も読んでいます

Intervieweeインタビューイー

Companyこの会社について


「いいね!」してマーキャリの最新情報をチェック!