• 2019/09/05
  • 連載企画
  • マーケター冨沢

マーケター冨沢 5話目 【冨沢の生き様】

  • 冨沢  
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■マーケター冨沢
2019年1月に中途入社、当メディア・マーキャリチームに配属され、新人マーケターとして日々奮闘する25歳の冨沢を追った連載記事。
6大卒という学歴や元カーディーラーという肩書がありながら自己ブランディングを全くしていない為、キャリアを活かしきれていない彼が、<マーキャリチームメンバーと関わる中で自身の希少価値の見出し方を日々学び、成長していくドキュメンタリー>です。本人許可の元、プライベートも完全にさらけ出したリアルな内容はメディア記事としては大変珍しいのではないでしょうか。創業30年以上のBtoBマーケティング専門会社の一員として働きマーケティングノウハウを吸収する中で自己ブランディング能力を身につけていくことができるかが見どころです。

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第5回「冨沢の生き様」

自社のプライベートイベントでの司会進行をなんなくこなした冨沢はコンビニに寄りまじまじと眺めていた。

彼の両手には種類の違うグミが2つ。
何をそんな真剣に眺めているんだと突っ込んだところ、この2つのグミのどちらをレジに持っていこうか悩んでいたというのだ。

よく見てみると一つはコラーゲンとビタミンが多量に含まれているグミで、もう一つは噛み応えのある歯ごたえと程よい酸味が印象に残るグミだ。冨沢はこの2つのグミからどちらにするかで15分程無駄な時間を使っていたらしい。

眉間にしわを寄せながら考えていた彼の時間間隔はまるで精神と時の部屋にいるかのようだ。
結局彼は前者のグミを購入することを決断した。

お会計を済ませた後に下を向きながらゾンビのようにゆらゆら歩いている彼の背中を見守っていると突然歩を進めるのをやめて

「ひらめいた!」と声を荒らげた。

その後、沖に上げられた魚のようにはしゃいだ動きで闇夜に消えていってしまった。
ゾンビにしても、魚人にしても気持ち悪いものは気持ち悪いのだが、いったい彼は何をひらめいたのだろう。

次の日、出社した彼に昨日の奇妙な動きの原因を聞いてみた。

「昨日何故あのグミを選んだのかを考えていたんです。
あのグミはビタミンCが豊富でコラーゲン満点なんですが、それに惹かれました。実は最近、知人からはおっさんと呼ばれ、つい一昨日、姪っ子にはお父さんと同じ匂いがするとまで言われてしまっていたので老化防止に効果があるといわれるビタミンCとコラーゲンをとって肌つやを出そうと思って購入しようとしたんです。

こういう地道な一歩が自己ブランディングには重要ですからね。

そこで気づいたんです。

2つのグミを比較したときに僕の現状に明らかにメリットがあったのはコラーゲンが豊富なグミです。この意思決定の仕組みを人間関係にも応用できると思いつきました。つまり僕の中にあるビタミンCとコラーゲンを見つけてアピールするんです」

「そこで昨晩夜通し考えた僕自身のビタミンCとコラーゲンは『聞きやすい声』と『フットワークが軽い」こと。それをうまく活用して、いつでもどこでも依頼できるイベントの進行役として自分を売り出していくんです!」

彼なりに必死こいて考えた案なのだろう。頭ごなしに否定するつもりはないが、うまくいくとは思えない。

直後に彼は持ち前の実行までの速さを活かしSNSを使って
「イベントの司会進行、引き受けます。(いつでも、どこでも、どんなイベントでも可。価格交渉OK!)イベント司会請負人冨沢」と銘打って、実際のイベント司会の動画もつけて告知した。

意外と反応率は高く「一度会ってお話をしませんか」「詳細を知りたいのでお電話しましょう」といった内容のレスポンスが相次いだ。

冨沢も人間だ、自分が評価されれば当然うれしい。
鼻の下を伸ばしながら軽快なステップでオフィスを動き回っており、私含めた社内の人間にとってはうっとうしいことこの上ない。

しかし、冨沢が自信をつけていくのはいいことだ。それが成長への第一歩だから。

週末に「これが成功したら自己ブランディングもうまくいきそうな気がしています!」
と一通のLINEでメッセージがあった。

どうやら見込み顧客のもとへと向かったらしい。
画面からでも伝わる彼の満面の笑みを想像すると少々憎たらしくてえずいてしまったが、そのまま君の道をひた走るんだと心の中で熱いエールを送った。

しばらく週末の優雅な空気を堪能しつつ、冨沢の試みはうまくいったのだろうかと思いを張り巡らせていたところスマートフォンが鳴りだした。

おそらく様々な感情から動揺して手が震えたのだろう。彼からのメッセージは「失敗えいました」。
そんなにうまくはいかないだろうと感じていた私にとっては失敗の理由は聞かずともわかる。

そう、すでにいるのだ「良い声を出すイベントの司会者」は。イベント司会を自分の戦場として「良い声」という武器をを見つけたまではいい。

彼には仕事での経験もあるので戦えなくはない。
しかし、その中で選ぶとなったら信頼できる人物、キャラクターがよくわかっている人物にお願いしたくなるだろう。

「いい声を出す」という視点はもちろんいいのだが、
彼が伝えるべきは「どういう人間であるかというストーリー」であった。

例えば彼がSNSに投稿した動画とメッセージこんなに注釈を入れてみよう。

「私はイベントの司会を務めた当初は慣れない仕事であり、緊張でガチガチになってしまって思い通りのパフォーマンスができませんでした。イベントの集客目標やアンケート評価はいい数字を取れていたのですが、僕自身は納得できませんでした。その時ははっきりと答えは出ませんでしたが今ではわかります。

それは仕事を楽しんで行うということが全くできていなかったからです。投稿した動画のイベントでは自分の持っている司会進行力をフルに使ってお客さんの反応がイベントを通して変化するのを楽しみながら進めていました。

この経験から私のポリシーは自分の精一杯を出して楽しみながらイベントの成功につなげることであり、それが実績になると思ってます。様々なイベントの進行役にアサインしてお客さんと一緒にたくさんの”楽しむ”を経験して成果につなげる。それが私の活動であり、提供価値です。」

このメッセージと動画を見た人の中で少なくとも「楽しみながら仕事をする」と意識している人にとっては普通のイベントナレーターより魅力的に思えるのではないだろうか。

SNSであれ、対面の場であれ、彼が生きてきたうえで培ってきた世界感はどんなものなのか、彼の持っているキャラクター、そして何故イベント司会者をやろうと思ったのかというバックボーン、そうした感情を揺さぶるようなメッセージを伝えなければならなかった。

反省会をしようと呼びだした喫茶店でコーヒーを飲んでいると腐った魚の死骸が目の前に現れた。私はそっと彼にピュレグミを差し出した。

機能的価値だけでは最終的なブランディングは行えません。必要なのは差別化です。
「〇〇ができます」という能力だけを高めようとしても、それは他のできる人がいれば埋もれてしまいますし、模倣する人も出てくるでしょう。

機能面だけを強化して、差別化をしていても「この人じゃなければ嫌だ」という感情は生まれません。
そこには必ず「感情的価値」を付与しなければなりません。

その人のキャラクターであったり、バックボーンストーリーを相手が感じ取り、そこに価値を感じて共鳴したユーザーがあなたというブランドに価値を持つのです。


第6回 マーケター冨沢「冨沢はアート」はこちら。

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