• 2019/02/22
  • インタビュー
  • 突撃!となりのマーケター

人に社会に貢献できるマーケターを目指して。理想のキャリアに挑戦し続ける原動力とは

  • マーキャリ 編集部
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今回は、企業向けのネットワーク、セキュリティ関連ソフトウェア、最近ではAI/IoT関連のテクノロジーを提供するマクニカネットワークス株式会社の堀野さんにインタビューを行いました。
やりがいのある仕事を求めて、様々な企業でキャリアを積んできた堀野さん。自身が納得できるキャリアを目指して挑戦し続ける原動力はどのようなところにあるのでしょうか。マーケターになったきっかけや望むキャリアを実現するための転職時のポイントについてお伺いしました。「これからマーケターを目指している方」「エンジニア・SEからマーケターに転職したい方」は必見です!

マクニカについて

――会社概要と社内での堀野さんの業務内容について教えてください。

堀野さん(以下、敬称略)
マクニカネットワークスは、1972年に創業した半導体などのエレクトロニクス商品を取り扱う技術商社マクニカの100%子会社です。
私自身は、マクニカネットワークスのマーケティング部門に所属し、ネットワーク、セキュリティ、AI/IoTなどの世界最先端の技術をいち早く日本の企業にご紹介し、ご活用いただくためのプロモーショナルマーケを担当しつつ、親会社のマクニカにて事業戦略室にて組織横断の業務にも携わっております。

マクニカ内での堀野さんの役割

――堀野さんが所属されている戦略マーケティング部は社内でどのような役割を担っているのでしょうか?

堀野
当社の場合、営業部門内にプロダクトマネージャーを配置し、いわゆる4Pにおけるプライシング、流通、プロモーションの戦略・戦術を担当します。戦略マーケティング部は、そのプロモーションを専門性をもって実行する部隊としての位置づけになります。具体的には、製品プロモーションのためのPR、展示会やセミナーなどのイベントマーケ、デジタルマーケ、さらにコーポレートブランディングを担当しています。

新卒で出版社に入社

――堀野さんのキャリアについて教えてください。

堀野
新卒で、官公庁・文教、そして一般企業の法務・総務部門をメインターゲットとする法人向け法律出版を生業にする出版社に入社しました。収益形態はサブスクリプション型です。取次ぎを経由せず、ダイレクトセールスが基本のビジネスモデルで、私は本社の営業部門の販売促進部門へ配属。思い起こすと、いまと変わらずプロモーショナルマーケティングを担当していました。最初は、カタログ作成からスタートし、その後、サンヤツ広告を担当したり、逆に自社が出版する専門雑誌の入り広告の枠管理などしたりしていました。大学では文芸学部芸術学科美学専攻でしたので、出版社を中心にメディア企業ばかり受けまくりました。

それから2年目で電子出版部門に異動して、CD-ROMオートチェンジャーと格闘しながら動作確認などをしておりました。ダイレクトメールが中心でしたが、当時FNXと言っていたリクルートのFaxサービスを使ってダイレクトマーケティングを実験的に実施しました。その後、営業管理部門に異動し、業務改善プロジェクト、MSアクセスで構築したCRMの運用を担当していました。サブスクリプションモデルでしたので、定期的に請求書を発行する口座管理システムがあり、そこから購読データをウィークリーで抜き出して、顧客別に名寄せする作業をMSアクセスで行っていました。この時の経験は、データマネジメントの重要さについて身をもって知るいい機会でした。

DoubleClick Japan(現在はGoogleの一部門)の情報システム部門でエンジニアを経験



堀野
28歳から33歳まではマーケターではなく、5年ほどアドテクカンパニーで社内IT部門と自社事業のデータセンター運用を担当するエンジニアとして、ネットワーク構築・運用、セキュリティ環境の構築・運用、業務PCの運用ルール策定、ウェブサイト運用、メールシステム構築・運用、ヘルプデスク、プライバシー関連、ERPの導入プロジェクトマネージャーなど、いわゆる情報システム部としての仕事をしていました。アメリカに本社があり、日本でも上場した企業です。アメリカのグローバルオペレーションの中にクラウド(当時はASPと言っていました)のデータセンターがあったので、そちらの保守もしていましたね。

――5年ほど勤務された情報システム部のマネージャーとして働いてらっしゃった会社は何社目だったのでしょうか?

堀野
3社目ですね。情シスをやっていた会社に在籍していた時に、事業側を支える縁の下の力持ちであるコストセンター側より、プロフィットセンター側へキャリアを変えたくなり、会社を休職(結局退職しました)してイギリスにMBA(経営学修士)を取得しに行きました。(入社時に英語は全くしゃべれず、この会社に在籍していた時に勉強)

シーメンス旭メディテック(現Siemens Healthineers)にプロダクトマネージャーとして入社

堀野
MBAを取得して帰国してからは、ヨーロッパに滞在していたこともあり、ご縁があったので、Siemens Healthineers株式会社に入社しました。モダリティと言われる医療機器メーカーでプロダクトマーケターとして、PACSや電子カルテのプロダクトマーケターとして採用されました。学びたてだったフレームワークが活かせるということでウキウキしていましたね(笑)。同僚にMBA取得者が1名いて、一緒に戦略立案をしていました。時には、本社から来たスタッフと一緒に全国の病院へ訪問させていただきFit&Gapを行いつつ、プロダクトマーケターとしての実務経験を積むことができました。

Webコンサル会社に転職

堀野
ただ、スピード感がゆっくりしている会社だったので、焦りが出てきたときに、ヘッドハンターからいいポジションがあるという連絡が来たので、そちらに乗っかって転職しました。現在は事情が合って存在していない企業ですが、Webのコンサル会社ですね。Interactive Agencyを標榜しており、業界内では急成長している会社で100名程度の従業員が在籍していました。上流工程からWebサイトのコーディングまでを全て1社で完結できるというサービスを提供している点が強みで、私は技術チームを管轄する執行役員になりました。技術陣の取りまとめを行う管理者と、要件を取り付けて受注まで繋げる事業開発を担当していました。
手がけたプロジェクトとしては、とあるB2Cの外資系IT企業からガラケー向けのECサイト構築を請け負ったり、教育事業を行う企業からウェブ関連のプロジェクトを受託していました。Webサイトの構築案件は、どちらかというとキャンペーン系が多かったですね。イーベイのコンテンツをAPIを使って日本人向けに日本語で展開するサービスサイトの立ち上げなどもお手伝いしました。技術系の要素が強い案件の取りまとめですね。

SAP Japanに入社

堀野
次にSAP株式会社に入社しました。これ以降、基本はエージェンシーから離れ、パッケージメーカーで働くことになります。プロダクト・サービスの価値をどう活かすかという事の方が、肌に合っていますね。それでSAPにご縁があったのでSAPでマーケターとして働きました。それまでいわゆるリードマネジメントについて知らなかったので、初めてリードマネジメントの洗礼を受けました。

――これまでプロダクトマーケターをされていたわけですが、何か違いはありましたか?

堀野
プロダクトマーケは4P全部を担当するので、プロモーションといって大項目を考えるにとどまります。フィールドマーケ(SAPではプロモーショナルマーケのことをそう呼称していました)は1段下がって戦術レベルでどのような仕掛けをすると市場が反応して、リードが取れるか、案件を創出できるか、それが営業に渡った時に案件化できるかといったところですね。グローバルで同じプロセスで動くわけです。私は、出来合いのプロセスの中で収まって活動することが苦手でして、四苦八苦しながら業務を行いました。私自身は、本社がスポンサーのマーケティングプロセスを再構築する大がかりなプロジェクトにアサインされ結果を出したことが大きな実績になります。リードマネジメントではなく、コンテンツ系でした。

Akamai Technologiesに入社

堀野
1社国産パッケージベンダーを間に挟んで、次にAkamaiに入社しました。Akamaiは米国東海岸の企業です。マサチューセッツ工科大学の教授が作った会社で、CDNを事業化し業界のデファクトとなっています。当時の日本法人は30人ほどで、1人マーケターでした。(韓国法人のマーケも管轄)。
様々な経験を経て、SiemensやMBAで学んだフレームを使って実務経験を積んで、次にWebのコンサル会社でウェブ制作の現場や事業開発のやり方や人脈の構築の仕方を、SAPでコンテンツ開発とリードマネジメントを経験して、AkamaiではハイタッチマーケティングプログラムやPRやインサイドセールスについても理解を深めることができしました。

セゾン情報システムズに入社

堀野
次はマザーズ、現在は東証1部に上場しているアステリア(旧インフォテリア)へ入社。最終的にマーケティング本部長として広報・IR・プロダクトマーケ・プロモーションを統括していました。ベンチャーらしく、ダイナミックなチャレンジを通じて経験を積みました。IRに携わったのは、このタイミングで、企業価値を向上させることの重要さを身をもって知りました。また、日本データマネジメントコンソーシアムの運営に携わり始めたのもこの頃です。表彰部会の立ち上げを行いました。さらに、この時に、伊勢にある皇學館大學の非常勤講師のお話をいただき、現在まで授業を行っています。

その後、セゾン情報システムズに入社しました。データマネジメント領域が好きで、データは21世紀の石油と言われるように、HULFTという圧倒的な国内シェアを持つ製品は、多くの国内ユーザーに支えられている社会的な意義のある貴重な事業です。グローバル展開に力を入れており、これまでの経験を前提にしながら、どうやったら世界でプレゼンスを得られるかと知恵を絞りました。ここで達成したこととしてはAR(アナリストリレーション)領域での実績。具体的には、ガートナーのレポートにHULFTが掲載されるようになったことです。
グローバルで活用されるソフトウェアやクラウドサービスは、必ずガートナーのレポートに掲載されています。掲載されていない製品は、CIOは選択しないのです。だから、レポートに掲載された時、体が震えるほどうれしかったです。

――これまで何度も転職をされていますが、何を求めて転職をされていたのでしょうか?

堀野
自分が楽しんで働ける環境を求めて転職をしていました。楽をしたいのではないです。苦しくても、信頼してくれる上司や同僚や外部の方がいて、チームで結果が出せる環境がいいです。いろいろな人の役に立ちたい、何か自分が持っている技術や知見や人脈を提供することによって周りの成果へ貢献したり成長に寄与したりしたいと思っています。以前の職場では、マーケターが私しか居ない中で結果を出すことが求められることもあったのですが、一人マーケは結構辛かったです。その時、参考になったのは、他社のマーケターのマーケティング活動でした。初対面の方に根掘り葉掘り聞いたりもしましたね。なので、私は、日本のB2Bマーケターが少ない中で、マーケターが必要な会社があって、声がかかって、そこはビジネス自体が非常にチャレンジングだったり、伸びしろがあったり、もちろん、日本のお客様にお役に立つこと、広い意味で言うと日本の経済成長に役に立つ、貢献できる要素がある環境に身を置きたいと考えて意思決定しています。マクニカネットワークスは、IT商社なのでメーカーではありません。けども、ここ数年は、AI/IoT領域の事業開発へ投資をしており、メーカー的な要素を持ちつつありますので、キャリア開発の視点で言いますと、過去との連続性はあります。日本社会にとってAIの活用は重要なこと。そのような背景があり、マクニカネットワークスで働いています。

――転職するごとに様々な業務にチャレンジをされていますが、何か不安や迷いはあったのでしょうか?

堀野
怖いですよ。でも、命は取られないので(笑)活躍できると思って採用して頂いているので、できるところから取り組んで信用を勝ち取ってきましたね。

――新しい仕事を始める上で心掛けていたことはありますか?


堀野
自分が分かっていないことを客観視したうえで、分かってそうな人にこっそり相談に行ってました(笑)他社の上手だなと思ったマーケティングはウォッチしておき、自分が必要なタイミングで問い合わせをしてみたりしています。完璧な人間ではないので、分からないことは知っている人に聞くのが一番早いです。もちろん、本も読みます。最初はやったことがない戦術で実施することが怖いと思いながらも、やっていくうちに経験値が上がり、また抽象化して要素を理解していくことで、なんとなく大丈夫だろうということが、肌感覚で分かるようになってきますね。

やってみなければ分からないですし、動かなければ何も起きないわけです。でも、日本企業は、マーケティング領域において、会社として強く投資しようとするときは、完璧さを求めるのではないでしょうか。戦術が全て当たるようなマーケター、野球で言うところの10割バッターはいないですよね。日本の会社は失敗を許容しない文化がありますので、成功は「ふーん、まあ成功したよね。」という反応ですが、失敗すると目くじらを立てて怒る・評価マイナスなことが起きます。極論かもしれませんけど、起案時に成功する可能性が6割ですとか言ったら恐らくダメというわけですよ。野球は打率4割で天才扱いされるのに、6割と言ったらやめろとなってしまう。マクニカは、「足下に種を蒔く」を大切にしており、チャレンジャーにはやりがいのある会社です。失敗でペナルティを課す会社ではありません。もちろん、振り返りをして次に活かすことは求められますけども。

――最後にマーケターとして今後目指していきたいキャリアについて教えてください。

いつまでも前を向いているマーケターでありたいです。

――堀野さん、お忙しい中ありがとうございました!

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