• 2019/01/31
  • インタビュー
  • 突撃!となりのマーケター

営業からマーケターへ。 23年間のマーケティング活動で得られたスキルと知見とは

  • マーキャリ 編集部
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今回は、大手企業の間接材購買の適正化を支援されているディーコープ株式会社の堅本さんにインタビューしました。新卒で営業職に就かれた堅本さん。営業マン時代のとあるきっかけから、マーケターにキャリアチェンジを決断されたそうです。金型部品商社、通信大手のグループ会社のスタートアップ、医薬品メーカー向けマーケティング支援会社など、様々な業界でマーケターとして活動されてきました。マーケターとしての経験を活かし、マーケティングコンサルティング会社を立ち上げるなど、起業家としての顔もお持ちの大ベテランです!これまで約23年間のマーケティング活動でどのようなスキルや知見を身に付けることができたのでしょうか。
「営業職からマーケターに転職したい方」「マーケターを目指している方」「マーケターとしてのキャリアについて考えている方」は必見です!

*ディーコープでの業務内容
――御社の事業内容について教えてください。

堅本さん(以下敬称略)
弊社は、企業様の販売管理費や減価償却費など、いわゆる間接材と呼ばれる領域のコスト削減及び適正購買に関するコンサルティングを主な事業としています。

――堅本さんが部内で担当されている業務内容について教えてください。

堅本
私はコーポレート本部のマーケティング室で、WEBサイトやデジタルツールを活用したコンテンツマーケティングを展開し、営業へ送客する新規見込客の創出と育成の役割を担っています。具体的な業務内容としては、月2回のコラム作成や定期的なコンテンツ改廃、動線の整備などです。ニッチな業界だけに、特に各種SEO対策には力を入れております。効果的なキーワードを模索しながら外部パートナーと仮説を立てつつ、お客様から検索されやすい環境を作っています。もちろん、公式Facebookの運用や既存顧客6,000人とのコミュニケ―ションのためセミナー実施やメールマガジンも月に2回実施しています。

――経営課題を解決するサービスの特徴から考えると御社のターゲットは経営層ですか?

堅本
はい、大手企業の最終決済者である経営層がメインターゲットですね。しかし、我々のWebサイトから流入いただいているのは、ユーザーもしくは調達部門の責任者である部課長レベルの方がメインです。確かに経営層はご支援をはじめるきっかけとして重要なキーマンとなりますが、最終的にプロジェクトを動かすのは間接材の購買に携わる方々なので購買担当者は無視できません。そのためWEBサイトでは、各購買担当者の個別ニーズを拾えるよう案件単位でお問合せいただけるように設計しています。具体的にはペルソナを間接材の知識が無く、サプライヤ企業や各要求部門と情報の非対称性の課題を抱えている購買部門の方々と定義して、教育的なコンテンツ(用語集・コラム・メソッドなど)をより多く用意しています。早いタイミングで弊社サービスを検討の俎上に挙げていただきお問合せいただける工夫をしています。実は昨年3月にWEBサイトをリニューアルしたのですが、商談に繋がる問い合わせ数は昨年対比で3倍以上になりました。
*これまでのキャリアについて

――堅本さんのこれまでの経歴について教えてください。



堅本
新卒で営業として株式会社サンゲツという内装材(壁紙・カーテン・床材)最大手メーカーに入社しました。この会社で内装材の商流に関わる川上から川下まで幅広企業(販売代理店、内装業者、建設会社、設計会社、役所、現場事務所など)に訪問し、自社商材の意匠指定の獲得から販売代理店の管理や販促活動を7年間経験しました。しかしながら、内装材業界は多段階の流通構造上エンドユーザーと会うことが難しく、エンドユーザーの課題(不利益)などを知る機会もほとんどありませんでした。また、施工を伴う半完成品という性格上、エンドユーザーは施工後に建物の一部として、入居時に初めて見てみることも少なくありません。そうした中で、本当に生活者であるユーザーを満足ざせられているか7年間常に疑問を持っていました。

そこで、顧客課題に直接触れて、顧客を喜ばせる解決策(商品・サービス)を創出できる、マーケティングの勉強ができる会社で仕事をしたいと思い株式会社ミスミ(現:株式会社ミスミグループ本社)の門をたたきました。当時は、既存の機械工業系の金型部品のBtoB通販事業だけでなく、メディカル事業、フード事業、デジタルサプライ事業など本業とは無関係の新規事業を既存の各種インフラを利用して運営していました。私が所属していたのはデジタルサプライユニットという事業部で主に印刷会社の制作部門やデザイナー向けの著作権フリー素材集やMac周辺のハードを通販で販売していました。

――ミスミでの堅本さんの役割について教えてください。

堅本
ミスミでは、デジタルサプライユニットの顧客である印刷会社の別な課題(営業マンを受託型から提案型に変える)を解決する新規事業のプロジェクトチーム創出というタイミングでジョインできました。事業全体はチーム員3名で検討、個人的にはリーン用のMVP(ミニマムバリュープロダクト)の作成や印刷業界関連のイベント出店からデジタルサプライユニットの既存顧客へのインタビューなどを重ね商品のブラッシュアップを実施しました。解決策(マーチャンダイジングの方向性)を“印刷会社の広告代理店化支援”とし、紙媒体以外の印刷物(POP、のぼり、バナーなど販促品)や小ロットで名入れ可能なノベルティ、ホームページ制作などの受託が出来る環境を整えました。更に通販用の紙カタログを作成し同じユニットの顧客向けに販売を開始、新規顧客獲得のためECサイト制作と啓発セミナーや業界紙掲載など各種プロモーション活動も実施しました。

今では特に目新しいことではないですが、20年以上前の当時はインターネットが普及し始めたばかりでホームページを持っている企業がそれ程多くない時代でした。そのためECサイトからの販売は余り機能しなかった記憶があります。その後、町場の小売店・飲食店などでも気軽に買える、低価格でオリジナルな販促品の制作支援の事業立ち上げにも携わりました。店頭のサインやバナー、可動式の看板の板面、店内メニューやPOPなど1品からでもデザインから安く請け負うフランチャイズモデルで、ここでも商品企画とプロモーション施策を担当しました。実際神田に事務所を設けてローカルエリアで常に顧客と触れ合いながら事業を創ることで顧客ニーズにフィットするサービスになっていきました。

ミスミには7年間在籍したのですが、顧客に寄り添い、顧客の悩みを課題まで落として、解決策(商品やサービス)を顧客にあてながらPDCAを回し日々改善していくことの重要性を学びました。提供するサービスが顧客の求めるベネフィットに合致すれば無理やり売り込まなくてもおのずと売れていくものだと分りました。今となっては当たり前ですが、売上趨勢など各種データからターゲット顧客の需要発生のメカニズムを科学し、欲しい時にタイムリーに商品(サービス)訴求する方法などを学びました。これら総称して“(無理に売り込まなくても)売れる仕組み創り”と定義しています。
*創業間もない企業に入社
堅本
次に、現在所属している創業間もない(2年目に入ったところ)ディーコープ株式会社に転職しました。目的はまだまだ方向性が定まっていないベンチャー創業時の立上経験と大手上場企業向けの経営支援をするなどです。当初、リーバースオークションという競り下げ方式の入札ITツールを活用し、大手上場企業の間接材領域(販売管理費など)のコスト削減支援のプロジェクトを複数経験しました。

ここで間接材について改めてご説明しておくと総コストから材料費などの原価を差し引いた販売管理費などを指します。対象は建物、事務機器・什器、消耗品、カーリース、業務委託、印刷物・販促品などその数は数千種と多岐にわたっています。その特性上、調達担当者が専門知識を持てず、複数の売り手企業と相見積を行うことも少ないため高い買い物をしていることが多い商品・サービスです。そのため、各商材・サービスの市場調査を実施し、市況、業界構造、業界の売り手企業の競合状況などを把握し、コスト削減可否と削減するためのシナリオを考える必要がありました。そこで、その領域を専任する部門を立上げ部門長となりました。また、要件定義書を作成し、コストの流動化を担保できるサプライヤを選定し、最終的にリバースオークション実施までのサービス全体の流れを整理体系化しました。

2003年に入社して2年間ほど勤務しましたが、数百種類の間接材の市場調査を通じて色々な業界構造や売り企業の存在を知り多くの知見を得ることが出来ました。本事業のコアとなるサービスの整理体系化を実施し現在のディーコープが提供するサービスの礎を築くことが出来たと思います。ちなみに、3年前に現社長の谷口にマーケティングの領域で手伝って欲しいとお誘いいただき、出戻りました。再就職の理由は事業会社のBtoBマーケティグの企画立案、特にデジタル領域で実務をやってみたかったからです。
*マーケティングファームに入社
堅本
大手製薬メーカーや化粧品メーカーを中心にマーケティングを請け負っている老舗のマーケティングファームがあり、プレイヤでしたがそこで2年ほど役員を勤めました。実はマーケティングを体系的に学んだことがなく実務から入ったので、マーケティング専門会社で自身のマーケティングスキルやノウハウの棚卸と整理体系化をしたいと考えました。色々なプロジェクトにささりましたが、中でも印象に残っているのは認知症の抑制薬のマーケティングプロジェクトです。薬事法に基づき、特定の症状に対して効能があるということは謳ってはいけなかったので、間接的にどのように認知させるかという仕組みや仕掛けを企画したりしていましたね。

――具体的にはどのような業務を担当されていたのでしょうか?

堅本
直接この薬が認知症に効果があり、このお医者さんを受診すれば処方いただけますとは言えないので、初期段階で早目に専門医を受診することが肝要ですという啓発を行いました。また、ご家族にとっては出来るだけオープンにしたくない大変デリケートな問題もあり、周囲の方々のご理解が無いと難しい病気です。そのため地域に認知症の早期の気づきとサポートを前提としたコミュニティ(銭湯や特定郵便局など)を複数作りました。介護・医療・保健・福祉などの側面から地域の高齢者を支える「総合相談窓口」(地域包括支援センター)などにもご協力いただきました。また、少ない専門医以外も受皿となれるよう、町場の内科医やクリニックのドクター向けにも、小規模なクリニカルカンファレンスなどを開催し啓蒙活動も行いました。

――医薬品メーカーと言われたら一般の薬局に並ぶか、お医者さんが処方するというイメージだったのですが、病気に対する正しい認知を広める活動をされていたのですね。

堅本
そうですね。よく海外ではDTC(ダイレクトトゥコンシューマー)マーケティングと呼ばれている手法です。我々の立場ではそれを直接訴求できないので、間接的な訴求のプランニングをすることが求められました。ここでは創薬や化粧品などのマーケティングのプランニングをやることで自身のマーケティグメソットがある程度確立できました。余談になりますが、まだmixiが立上った翌年でFBも一般開放されていない時期に、SNSの特性を生かした色々なジャンルの専門家や有識者と一般の方が気軽につながるプラットフォームの企画にも携わりました。他にも理由がありますが、当時テクノロジーがついていかなかったことと、モバイルが携帯しか無かった時代だったこともあり、立ち上がりましたが上手くいきませんでした。
*自身でマーケティング支援の会社を起業

堅本
退職後に、自身の興味の強いジャンルである健康・食に関わる領域でマーケティングの会社を創ろうと思い、地方の食品メーカー・健康食品関連(サプリメントを除く)のマーケティングを支援するエフ・ツー・シー株式会社という会社を起業し代表取締役に就任しました。(会社名はこれからの食の水先案内人いう意味でfuture・foods・conciergeの頭文字を取ってエフ・ツー・シーとしました。)主な事業内容は、新商品開発・既存商品の焼き直し支援と販売促進です。

当初、野菜の摂取不足と食育に目を付け、手軽に野菜習慣を身に付けられる食品、ベジトレ(ベジタブルトレーニングの略で商標登録)という自社ブランドを作り普及させる活動から始めました。よく健康診断で指摘を受け、サラダなど体に良さそうなメニューを免罪符的に取り入れる中高年の方がいますが、長続きしないことがほとんどです。しかし、お酒のおつまみ、お菓子、ドリンクなど美味しく手軽に摂取できる形態であれば長続き出来るのではと考え“リアルベジタブル”という商品を開発しました。無農薬や特別栽培などの野菜をそのままフリーズドライ加工した栄養価そのままのお菓子・おつまみです。ベジタブルトレーニング(免罪符食)という切り口で、それを東京都の認定保育さんやフィットネスクラブなど、約30か所の施設に対して販売いたしました。特にフィットネスクラブでは定期的に試食・頒布会なども実施させていただき、そこにべジトレのコンセプトに合った食品・飲料水を持っているメーカーの商品も並べて販売しました。そこで試食されたお客様やお買い求めいただいた多くの会員様にSNSやリアルな口コミで広げていただき、地方で埋もれてる商品の健康ブランドを高めことにも繋がり、ECでの売り上げUPに貢献しました。

また、野菜加工品ではないユニークな健康食品(例えば今はメジャーな甘酒も飲む点滴として10年前に販売)も同様なアプローチで販促を開始しました。こういった取組の中で、他の地方企業から商品開発や販促の依頼、自治体から農産物を使った商品開発・販路開拓(6次産業化)などの依頼もいただくようになりました。7年間各地からご依頼をいただき、50社近くの企業のご支援ができました。また、中規模の食品メーカー様からのご依頼で、販売先(スーパーなど)にて購入者のエスノグラフィー調査、行動観察、個別のデプスインタビューやデモンストレーターを活用した試食などから商品改善点や売り方の課題を導き出し、更なる商品のブラッシュアップ支援も行いました。7年間所属コンサルタント7人で切り盛りしてきましたが、それぞれ得意分野も異なっており、途中方向性も違って来たこともあり、最終的には切り出しをして私一人にしました。従業員それぞれ好きなマーケティング分野で活躍していますし、外注をお願いできる関係でいます。現在は口コミやご紹介で依頼が来ればコンサルとか公演をするようにしているのですが、ディーコープの活動をメインにし、エフ・ツー・シーとしての活動は積極的には動かしてはいないですね。
*23年間のマーケティング活動で得られたもの
――様々な企業で23年間マーケティング活動をされてきて、マーケターとして活動し続けて良かったなと思いますか?



堅本
これまでのマーケティング活動で得た知見や経験は、様々な場面で役に立っています。日常の中でもマーケティング思考で、なぜこの商品が売れているのかという見方で物事を捉えたりします。また、近年では、デジタルマーケティングが主流となり、マーケターにはデジタルツールに関するスキルが求められますが、根底にあるマーケティングの考え方は不変なので、それが様々な場面で生きていますね。
*マーケティングの面白さ・醍醐味

――これからマーケターを目指す方にとって、マーケティングの面白さや醍醐味はどこだと思いますか?

堅本
マーケティングは会社の経営戦略の中核を担うもので、マーケターになるということは、経営の舵取りをするコア人材になれるということだと思っています。海外では、そのような認識は当たり前ですが、日本ではまだマーケターが主役になり切れていないです。日本の企業は、作れば売れる時代を経験しているので、まだまだ営業が花形ですね。近年は、MAツールなどを活用したデジタルマーケティングへの変遷を皮切りに、より多くの顧客情報を効率的に入手することが可能になりました。そのため、顧客の行動変化に応じて、的確な情報をタイムリーに提供し、顧客の行動変容を促し、営業へ送客できるマーケティングクオリファイリードへ育成していくというステップが個社(個人)単位で出来るようになりました。

以前はセグメントを切って塊で戦略を立てていましたが、1社1社に合わせたマーケティング戦略も可能になってきます。そうなると営業の多くの仕事の領域までWEBマーケティングで完結してしまうようになり、マーケティングが会社のコア業務となっていくと考えます。特に効率的に得られる多くの顧客情報を商品企画やサービス開発などの部門に提供し、お客様の喜ぶ商品・サービスに日々アップデートしていく仕組みを共創することも重要です。この一連の流れが“売れる仕組み創り”を構築することにつながると考えます。この様にマーケターはより顧客情報(データ)に触れる機会が増え、社内でも一番の顧客理解者になれるのではないでしょうか。そういう意味ではこれからの時代マーケターが主役の座を射止めやすい環境ができてきたかなと思います。ただいつの時代も、顧客ありき、顧客の課題ありきの着想、出発点として考えられる思考性をしっかり身に付けなければいけないと思います。
*マーケターに求められるスキルとは

――どのような人がマーケターに向いていると思いますか?



堅本
第一に、常識にとらわれない、好奇心が強く、あくなき探求心がある方ですかね。特に日本企業は企画を立案するなどクリエイティブ思考がそんなに得意ではないと思います。更に、改善して、検証し続けるするというPDCAを回す作業にはほとんど手が回らないのが実情です。PDCAを回し切れず企画倒れとなってしまうケースが多いですね。現状のマーケティング課題を提示された時に、委縮してしまうのではなく、前向きに捉えて、お客様に喜んでもらえるような製品やサービスを提供していこうという気持ちを持ち続けられる人がマーケターに向いていると思います。

――マーケターに求められるスキルを教えてください。

堅本
私が考えるマーケターに必要なスキルは大きく分けて3つ分けてあります。ブリコラージュ能力、セレンディピティ能力、アナロジー思考です。1つ目のブリコラージュ能力ですが、例えば、自分が道を歩いている時にスニーカーの紐が切れたとします。このままでは歩き続けられませんが、周りを見渡したら針金があったので、それで代用しましょうというような能力のことですね。本来使うべきではないものを一時的なソリューションとして使うような発想・着想ができる能力のことです。

2つ目のセレンディピティは思わぬ発見という意味です。マーケターは常日頃からユーザーの課題や悩みなど、収集した情報を整理して引き出せる様にしておくことで、思いがけない着想を得やすいのです。特に何も問題視していなければ、思わぬ発見なんてないですから、常に世間や市場の動向を意識して、情報をインプットしておくという心構えを持つことが大切です。

3つ目のアナロジー思考とは、「類推思考」と呼ばれ、すでに経験のある分野から見出した「法則」を未経験の分野に当てはめることです。異なる分野で得た法則を、自分の分野になぞらえて考えたり、業界の枠を越えながらなぞらえて考えることで、新たな発想を導き出すことができるようになます。例えば、先述しました“野菜のおつまみ”もその一つです。敬遠されがちな野菜を食べやすくするために、美味しいお酒のおつまみにしてしまえば、野菜摂取不足の中高年も積極的に食べてもらえるのではという発想です。また、よくテレビの報道番組などで、理解しやすい様に例え話をしますが、あれもある種のアナロジー思考だと思います。例えば、“日本国内のビール1年間の消費量は300万kl”ではピンとこないので、”東京ドーム2杯分にあたる”と言えば想像しやすくなります。

アナロジー思考を磨くためには、常日頃からインプット(経験)をより多くしておき、日常の会話の中で相手の理解を促す工夫として、分りづらいものを身近なものやことに置き換えて分りやすく話す癖をつけることが肝要です。マーケターには柔軟な発想力が求められると思いますし、このスキルは凄く大事ですね。そのためには、好奇心がなければ、この3つの能力は身に付けられないと思います。そのうえで、常に前向きであり続ける必要があります。「ああ、もう駄目だ」と思ったらそこで思考停止してしまうので、課題を自分に与えられたクイズだと楽しみながら前向きに捉えて、どうやって解決しようかなと考えることが凄く大事なことだと思いますね。
*今後のキャリアビジョン「20年で100社の“売れる仕組み”を創出支援を行いたい」

――今後のキャリアに関する野望をお聞かせください。

堅本
私も現役でいられるのも残り20年程度だと考えています。ある種私の夢ですが、5社/年のペースでマーケティング支援により独自の“売れる仕組み”を創出したり、各種課題を解決していきたいですね。特に、ユニークなテクノロジーや製品、サービス、ビジネスモデルをお持ちのベンチャー企業と多くの接点を持ち、事業成長・拡大のための支援を行いたいです。以前、日経新聞で2007年と2017年の日本とグローバルでの時価総額ランキング比較を見て衝撃を受けたのを覚えています。日本の時価総額ランキングは10年前とほとんど変わっていないのに対し、グローバルではがらりと顔ぶれが変わっていました。

具体的にはアップルやグーグル、フェイスブック、アマゾンなどの新しい価値を提供している新興企業がTOP5に名前を連ねていました。これは日本のベンチャー企業がIPO以降大きくスケールし、メガベンチャーへの変遷をたどることが少ないためだと思います。色々な理由があると思いますが、たとえばVCがIPO後イグジットして、ハンズオンで役員に名を連ねていた経営人材を引き上げたり、経営やマーケティングに強い優秀な人材が確保できなかったりで、事業を更に拡大させる中長期の成長戦略が描けないケースなど人の問題があると考えています。どの様な課題に注目し解決策を考えるかはこれからとなりますが、是非メガベンチャー育成の領域に取り組んでみたいです。

今後は、今までの経験を基に自身のマーケティングスキルやノウハウを更に進化させる必要があると考えています。そのためにも、最後まで現場に近いポジジョンで仕事をし続ける事にこだわっていきたいと思います。自身のご支援する企業が、10年後・20年後日本の時価総額TOP10の顔ぶれに1社でも名を連ねることができたらたら嬉しい限りです。



――堅本さん、お忙しい中ありがとうございました!

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